ながおか市民防災センター1階にある「こそだてのえき ぐんぐん」。
「子育てに寄り添うあたたかい居場所」を訪れました。

■中越地震の経験から生まれた、多世代×防災
現在、「子育ての駅ぐんぐん」は特定非営利法人「多世代交流館になニーナ」にて運営されています。
【多世代交流館になニーナとは】
活動のきっかけは中越大地震での被災。避難所は乳幼児を抱える親子にとって厳しい環境で、授乳や着替えも安心してできなかったり、赤ちゃんの泣き声に気を遣ったり。そのような理由から多くの人が自宅や車中での避難を選ばざるを得ませんでした。
そんな経験をしたスタッフたちが、「次の災害時に困る親子を減らしたい」「世代を超えて助け合える社会をつくりたい」という思いで「多世代交流館になニーナ」を設立。活動を続ける中で「多世代交流」という考えが全国に広まり、東日本大震災を経て法人化。
ーー 「ぐんぐん」では、防災に関しての内容も発信されているのですか?
防災と聞くと、備蓄や災害時の対応を思い浮かべる方が多いですが、日頃から家族が家事や育児に参加し、お家のことを把握することも防災につながります。
有事の時に(災害だけではなく家族の入院等の時も)こうした習慣が、我が子や家族みんなを守ることに繋がるということを年間を通してお伝えしています。
■いつでもおいで
ーー 「ぐんぐん」で大切にされている事を教えてください
初めて子育てひろばに来る時の心細い気持ちや、本当に入っていいのかなという不安の気持ちに寄り添えるように、「また来てね」ってお声掛けするんです。
子育て中は孤独を感じることもあると思います。「私はまたここに来てもいいんだ」って感じてもらえると嬉しいです。
ーー いつでも帰ってこられる場所なんですね。
また、転勤等で長岡を離れた親子が、長岡花火やお正月に「ただいま」って声を掛けてくれることがありました。
■我が子の未来・我が子の小さい頃が見える
ーー 利用時の年齢制限はありますか?
中学生の職場体験や高校生、大学生のボランティアも随時受け入れています。
2024年度のエピソードですが、小さな頃親子で利用していたという高校生が、部活動でぐんぐんを取材したいとやってきました。大きくたくましくなった彼の表情の中には、小さなころの面影が残っていて当時を思い出しました。「僕のことを覚えてますか?」って。とても嬉しい出来事でした。
ーー 年齢制限がないのはありがたいことです。筆者も、一番上の小学生含め子どもが3人いるので、連れていくところに困ることがあります。
そういうことは、起きた時やお声をいただいた時、スタッフだけでなく利用者さんと一緒に考えます。
多世代交流だからこそ、異なる年齢でもお互いに安心して楽しく過ごせる環境を目指しています。
おもちゃの取り合いの場面でも、私たちスタッフも一緒に関わり、親子同士にとっても良い機会にできるように心がけています。たくさんの経験から、社会で生きる力を学ぶきっかけにも繋がります。そんなところも、子育てひろばの魅力と思っていただけると嬉しいです。
ーー 同年齢や異年齢の子と一緒に遊ぶ機会は貴重ですね。
反対に大きい子たちや保護者さんは、「小さい子って可愛いな」「優しくしたいな、守りたいな」と感じると思います。また、我が子の小さな頃を思い出して、成長した我が子を改めて愛おしく感じることにも繋がります。
多世代交流の良いところです。
■「子育ての駅」は、子育てを支える場所
ーー 「子育ての駅」すごいですね!
お子さんをスタッフがゆるやかに見守りながら一緒に遊んだりしている間、子育てコンシェルジュとゆっくりお話できます。
また保育士だけではなく、助産師や保健師、栄養士等の専門相談も実施しています。
詳しい日時は、長岡市の子育ての駅HPや毎月発行される駅のおしらせにも掲載されています。
ーー こちらの施設はどのように利用できますか?
おじいちゃんおばあちゃんが一緒でも大丈夫です。
英語が話せるスタッフもいるので、海外にルーツを持っているお父さんお母さんも安心です。
個人情報を記入する必要がないので、プライバシーも守られます。
【利用の流れ】
①来館
②手洗い
③受付(QRコード読み取り)
④自由遊び
ぐんぐんはワンフロアなので、目が行き届きやすく過ごしやすいと思います。
■お父さんお母さんファースト
そのままの自分で愛されていいんだよ、生まれてきてくれてありがとう。と子どもには伝えますよね。
でも、いつしか成果重視で、もっともっとちゃんとしなきゃいけないと自分自身に厳しくなってしまうところがあります。
それは子育てに対しての社会からの視線も同じで、日々頑張って子育てをしているお父さんお母さんが、認められて労われ、温かく守られたりするような社会に向かっていけたら良いと思っています。
それは法人理念の「つながる・ささえる・ひろがる」という言葉たちからも発信しています。
「私ってダメなお父さんお母さんでしょうか?」という声を聞くことがあります。
育児に正解はありません。
どんなことも、その時その時にお父さんお母さんが選ぶことが最善だと思いますが、決めるまでにたくさん話し合ったり、思いを伝え合う事が大切です。
途中で方向転換することもあって良いと思います。
そんなことの連続の子育てのお手伝いを、ひろばはできると思います。
ーー 最後にお父さんお母さんに向けて一言。
こんな時代に、結婚しなくても、子どもがいなくてもそれなりに幸せに生きられるような時代に、子どもを産んで育てるという選択をしてくれてありがとう。と日々関わる親子さんに感じています。
「こんなことを聞いてもいいのかな」「こんな風に感じることはおかしいのかな」子育ての中で色々な疑問や悩み、不安を持つことがあると思います。どんなことも気兼ねなく、聞かせてください。お話することを楽しみにしています。
【編集後記】
筆者もママのひとり。お話を聞きながら何度も胸がいっぱいになりました。
ママは普段「〇〇のママ」として扱われがちですが、ここでは一人の人として話を聞いてもらえると感じました。
子育てに奮闘するパパ・ママは、普段なかなか褒められないですが、ここでは「頑張っているね」と言ってもらえるような優しい時間が流れる空間でした。
子育ての駅 ぐんぐん(新潟県長岡市千歳)
【所在地】
新潟県長岡市千歳1丁目3番85号 ながおか市民防災センター1F
【連絡先】
0258-30-1025
【利用時間】
午前9時から午後6時
【休館日】
毎週火曜日(火曜日が祝日の場合は開館)
年末年始(12月30日から1月1日)
【駐車場】有